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プロフェッショナル「宮下大介」の眼

・日本の歯科医療を考える(2)宮下大介の考える技術とは
私は常にアメリカの公私にわたる友人知人より情報を頂き、日本で学べる歯科技工士技術、知識と比較検討を行いながら業務に携わっております。特に新しい情報(業界知識、技術、材料材質、人材)などや、各種システムなど頭に入れて展開することが必須と強く感じているからです。最近では歯科治療や審美治療の世界もオールセラミックが主流になり技術レベルも全体的に底上げされてきたと感じております。しかし、歯科技工士は長年の経験と勘という職人の世界と同じ体質がございます。良い歯を制作出来る人材は経験が全てといっても過言ではありません。逆にいえば、技工士になって数年の人の作る歯は設計図的にはOKであっても、実際に患者様の口に納めた場合に違和感を感じるケースもあることも否めません。悲しいですが、それが経験の差というものなのです。そこで弊社のラボラトリーでは、最新鋭の3M Lava CADCAM systemを導入しております。現代では人の手による制作でも機械で制作したモノとの差がなくなっておりますが、導入をすることにより2点の効果が如実に現れました。
1点目は「より精度の高い均一した商品提供」であり、2点目は「より木目の細かい商品提供」であります。

1点目の「より精度の高い均一した商品提供」でありますが、これは皆様ある程度想像が可能だと思います。あってはいけない事なのですが、スタッフ全員を比較すると技術レベルが低いと言わないといけない技工士もいるわけです。しかしこのシステムを導入することにより、歯科医のDoctorの指示をほぼ100%満たした製品を全員が提供することが可能となりました。また3年未満の技工士を育てることにも一役を担っております。ただし懸念される問題もあります。それは、少し話し辛いのですが歯科医師の技術です。患者様のお口から型を生成するのは、日本では歯科医なのです。この時にミスが生じてしまったり、いい加減といわれる対応をとられてしまうと、機械は正直かつ正確に歯を制作いたします。私たちは歯科医師と一緒に技術の向上にも努めないといけないと思います。

2点目の「より木目の細かい商品提供」についてですが、これには日本の歯科医と歯科技工士の関係を含めた事情が深く絡み合っております。日本の歯科技工士は歯科医からお仕事の依頼を受けます。当然納期というものがございます。一般の方が歯科医へ行かれた時、次回の予定はどのくらい間を開けて予約を入れますでしょうか?約1週間前後ではないかと私は考えます。それは、保険治療をベースとした歯科業界が成り立っているからです。 よって、歯科技工士は時間との戦いなのです。極端な例をあげるとするのであれば、例えば10工程のある仕事を5日で行う場合と、5時間で行う場合とでは何が変わってきますでしょうか?答えは「1工程当たりの時間」と「1工程あたりの精度」です。アメリカは前者の場合で、時間が長い部分は工程を増やす事に費やします。ですから20工程の仕事が5日間となるのです。悔しいですが、当然良いモノが出来ますよね。よって対応策として、私は機械を有効活用することにより、人間の眼でしか出来ない細かなチェックや患者様一人一人にあわせた微妙な変更に時間を費やすことが出来る様になり「より木目の細かい商品提供」が可能となりました。

これからは、新しいことをして技術の差を創っていかなければならないと思います。 その為には人の眼を鍛えることが重要です。グローバルな視点で良い情報、技術、知識を身につける事が日本の歯科医療に必要な技術ではないでしょうか?