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プロフェッショナル「安田和光」の眼

・日本の審美を考える(2)必要な技術とは
第一に、広い分野から構成される知識が必要とされる。それは歯の正常な解剖からはじまり、生理学、組織学の基礎から、保存、補綴、矯正、外科の専門と、多岐に渡るトータル的な知識である。これらをベースにし、現場では実際のテクニックへつなげていく必要がある。また、特に審美性を考える際は、欧米から入ってきた考えや技術をそのまま取り入れるのではなく、日本人に適したものへ応用していくことも極めて大事であると言える。なぜなら、そもそも我々日本人は欧米人に対し、骨格的な条件が非常に複雑になっているからである。骨は細くて薄く、またエナメル質や、歯肉のような軟組織も薄い。さらに筋力も弱いため、より繊細なテクニックが要求されることとなる。

たとえば歯肉が薄いということは、切開の位置一つをとっても、気をつけなければならない。審美性を考えれば、歯茎の位置が隣の歯同士でそろっている必要があるため、日本人ではより慎重な切開が必要である。理由は、歯茎の位置は切開面で決まるからである。インプラントの際も、インプラントの技術だけでなく、上部構造(※)を入れた後で「見た目も美しくなるか」という審美性まで考え、舌側から切開する。
(※インプラントの土台の一番上につけるかぶせもの(歯となる部分)。)

一方、欧米の人たちの歯肉は厚いため、切開の際にそこまで慎重にならなくても良いという現実がある。気を付ける点は他にも多数ある。切開したら、歯肉がやせてしまうためできるだけスピーディーに閉じなければならない。骨の露出時間によって歯茎の高さが下がるので、とてもデリケートである。あるいは、止血剤を使ってもやはり歯肉がダメージを受けるため、使えば良いというものでもない。二重、三重切開、内斜切開といったテクニックを駆使して、慎重にかつ素早く施術する必要がある。